静かなる、しかし大きな進化をしたAccess2024
クラウドが当たり前になった今、「もうAccessの時代じゃないのでは?」と感じている方も多いかもしれません。
ですが実は、Microsoft Accessは静かに進化を続け、「現場主導のデータ活用ツール」として、むしろ価値を高めています。
特に最新のAccess 2024では、その方向性がより明確になってきました。
今回の進化は、大きく3つのテーマに集約できます。
ひとつは外部連携、ふたつめはパフォーマンス、そして三つめがセキュリティです。
1. 外部連携
中でも象徴的なのが、Microsoft Dataverseとの連携強化です。
これまでローカル中心だったAccessのデータが、Teamsやモバイルアプリとつながり、「現場で作った仕組み」をそのままクラウドに広げられるようになりました。
これは単なる機能追加ではなく、Accessを“閉じたツール”から“開かれたプラットフォーム”へと変える大きな転換点です。
また、フォーム内にWebを表示する機能も、旧来のInternet ExplorerベースからMicrosoft Edge(Chromium)へと刷新されました。
これにより、最新のWebサービスや社内ポータルを安全に組み込めるようになり、業務アプリとしての柔軟性が大きく向上しています。
2. パフォーマンス
パフォーマンス面でも、実務的にはかなり効いてくる改善が入っています。
32ビット版でもメモリ上限が実質倍増し、大量データや複雑なクエリでの「落ちる・重い」といったストレスが軽減されました。
SQLエンジンの最適化も含めて、「小規模ツールだから遅い」という従来の印象は、かなり変わってきています。
3. セキュリティ
さらに、セキュリティ面ではVBAへのデジタル署名対応が強化され、企業利用でのハードルが下がりました。
加えて、タイムゾーンを扱えるDateTimeOffset型(注1)の追加など、グローバルなデータ連携にも配慮されています。
こうした進化を踏まえると、Access 2024は単なる“昔ながらのデータベース”ではありません。
Microsoft Power Platformと共存しながら、「小さく作って、大きく育てる」ためのハイブリッドな開発基盤へと進化しています。
特に小規模開発や現場主導の業務改善では、「まずは小さく作りたい」「でも将来はクラウド連携したい」というニーズが非常に多いですよね。
Accessはまさにその中間を埋める存在です。
いきなり大規模システムに投資するのではなく、現場で試し、うまくいったものをDataverseなどに展開していく——そんな現実的なDXの第一歩として、AzureやPower Platformの時代にもAccessをさらに活かして使ってこうというMicrosoftの意図が感じられます。
まとめ:Access 2024の進化ポイント
- Microsoft Dataverse連携により、ローカルDBからクラウド活用へ拡張可能に
- Microsoft Edgeベースのブラウザコントロールで最新Webとの統合が容易に
- LAA対応により、32ビット版でも大規模データ処理の安定性が向上
- SQLエンジン最適化で、複雑なクエリ処理のパフォーマンスが改善
- VBAデジタル署名対応で、企業利用におけるセキュリティ信頼性が向上
- DateTimeOffset型の追加で、タイムゾーンを跨ぐデータ管理に対応
- アクセシビリティリボン導入で、多様なユーザーが使いやすいUIへ進化
- Fluent Design採用により、モダンで直感的な操作性を実現
- Microsoft Power Platformとの連携前提で、“現場発→全社展開”の開発スタイルに対応
注1:「DateTimeOffset(デートタイムオフセット)」とは?
これは、コンピューターが「日時」を扱うためのデータ形式(型)の一つです。
- 日付と時刻: 「2026年4月14日 17時00分」といった情報。
- オフセット: 「世界標準時(UTC)からどれくらいズレているか」という情報(例:日本なら +09:00)。
通常の日時データ(DateTime)だけだと、「どこの国の17時なのか?」がわからなくなることがありますが、DateTimeOffset を使うことで、時差を含めた正確な時点を記録できるようになります。
【執筆】インフォース 経営企画室 山中清志
(元日本マイクロソフト本部長)
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